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倉庫の自動化 - 完全ガイド

生産性と効率性という今日の要求に対応するためには、倉庫にはより高度なテクノロジーが必要です。倉庫は単なる保管施設ではなく、複雑なグローバルサプライチェーンにとって不可欠な要素なのです。倉庫の自動化は、このような要求に応えるための重要なツールとなっています。

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倉庫の自動化とは?

倉庫の自動化とは、専用の機器やシステムを使って作業を行うことです。ルールに沿って実行され、反復的で、エラーが発生しやすい手作業を引き継ぎ、削減することに重点を置いています。判断能力や裁量能力よりも、あらかじめ定義されたプロセスから遅延や逸脱することなく、毎回同じように作業を行うことが重要視されます。

倉庫の自動化では、ロボットなどのさまざまなハードウェアやソフトウェアを使用して、商品の保管や取り出しを行い、在庫にラベル付けをし、データ取得やレポート作成といったバックオフィスのプロセスを完了します。使用されるテクノロジーは多様ですが、ビジネス目的は同様に、業務の合理化、加速化、一貫性の確保です。倉庫の自動化は、生産性の向上、人件費の削減、安全な作業環境の実現など、大きなメリットをもたらします。

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倉庫自動化のビジネスケース

倉庫の自動化は、供給サイドでのコスト削減、効率化、生産性向上といった圧力から、より迅速で透明性の高い商品配送という需要サイドからの要請まで、さまざまな経済的要因によって促されています。この10年間は配送スピードが特に重要視されており、eコマース「ロットサイズワン」に対する消費者の期待は、企業やサプライチェーンを俊敏性のさらなる向上へと促しています。

企業は、総生産量を増やすだけでなく、生産や配送においてさらにきめ細やかな対応が必要です。さらに、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行では、人手への依存度を下げ、生産と保管の場所をより多様化することで、サプライチェーンの弾力性を高める必要性が示されました。

倉庫の自動化の種類

倉庫の自動化技術にはいくつかの種類があります。また、実装可能な複雑さのレベルも多様で、特定のタスクやプロセスを自動化するシンプルな単一アプリケーションの技術から、相互接続されたタスク、プロセス、テクノロジーのクラスターを自動化するエンドツーエンドのシステムまで、さまざまなものがあります。一方で、倉庫の自動化では、以下の両方が組み込まれます。

  • ITを活用したデジタルオートメーション
  • 機器・装置の物理的な自動化

デジタルオートメーション

デジタルオートメーションとは、ソフトウェアを使用して、情報テクノロジー(IT)の能力を高めることです。標準的なハードウェア(モバイルタブレットやインターネットネットワークなど)に初期投資を行った後、基本的なアプリケーションやアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)からデータ分析プラットフォームや機械学習アルゴリズムまで、タスクやプロセスに特化したソフトウェアを使用します。

クラウド技術によって、参入障壁は大幅に低くなりました。ストレージやコンピューティングのためにオンサイトのインフラストラクチャを必要としていた自動化の多くが、今では外部プロバイダーによる「as-a-Service」モデルで利用できるようになっているのです。

デジタルオートメーションの主な目的は、手作業によるワークフローを削減することです。例えば、無線自動識別(RFID)やモバイルバーコードスキャンなどの自動識別・データキャプチャ(AIDC)技術を使用した仕分けシステムは、在庫の識別と追跡のプロセスを自動化します。これにより、作業員や顧客にとってよりスムーズで便利な体験が生まれ、生産性が向上し、手作業によるエラーのコストを削減することができます。

ピック・トゥ・ライト&プット・トゥ・ライトシステムは、仕分けシステムとデジタル照明を組み合わせて、商品を置いたり取り出したりできる場所に作業員を誘導するシステムです。

その結果得られたデータを、ワークフローなどの追加情報と組み合わせて、倉庫管理システム(WMS)で活用することで、次のようなメリットを享受できます。

  • 倉庫全体(または複数の倉庫)の在庫の可視化
  • マテリアルフローと資源利用の調整
  • 複数拠点にまたがるサプライチェーンフルフィルメントプロセスの管理

ERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)は、WMSをさらに進化させます。

  • 複数の拠点や部門(アカウントやセールスなど)からの情報を統合し、サプライチェーンにおける倉庫の機能を可視化して最適化する
  • 売上予測を可能にする(これにより在庫の最適化が可能に)
  • 収益追跡を容易にする

物理的な自動化

物理的な自動化では、ロボットなどの機械化を使用して、倉庫内の作業を行う人間の従業員を支援または代替します。これにはさまざまなタスク固有のテクノロジーが含まれ、たいていはそれらを大規模なシステムに統合することでプロセスを自動化します。例えば、AIDCとコンベヤーを組み合わせて、倉庫内の在庫の移動と仕分けを容易にする、などです。

倉庫内の在庫の移動には、磁気ストリップ、センサー、カメラなどを備えた無人搬送車(AGV)を使用することができます。しかしAGVは広く比較的オープンなスペースでは適切に機能しますが、人が作業していたりレイアウトが頻繁に変更されたりするような場所に対応できるほどの器用さはありません。

そのような場合には、自律移動型ロボット(AMR)が有効なソリューションとなります。GPSで経路を把握し、レーザー誘導システムで人や障害物を検知して移動するAMRは、安全かつ効率的に移動することができます。さらに、設置も簡単です。

AS/RS(Automatic Storage and Retrieval System:自動倉庫システム)は、コンピュータ制御の(部分的に人間の作業員が操作または完全に自動的かつ自律的に動作する)機器と組み合わせて、商品や機器の高速かつ正確な移動・保管・取り出しを行います。

AS/RSの規模や複雑さはさまざまで、単純な作業や非常に特殊な作業のために設計された小規模なシステムから、倉庫全体の保管と取り出しを自動化する大規模なシステムまであります。また、製造や流通のプロセスに統合することも可能です。AS/RSには、次のとおり多様なサブタイプがあります。

  • ユニットロードAS/RS(大容量用収納ラックシステム)
  • 横型カルーセル(小物・複雑な商品用)
  • ミニロード
  • 垂直上昇モジュール(VLM)
  • シャトル(トートバッグ、トレイ、カートンに対応)

GTP(Goods to Person:棚搬送型)フルフィルメントシステムは、複数の技術を組み合わせることで生産性を高め、保管、処理、労働力利用の効率を向上させています。例えば、キューブ型保管庫は高密度のGTPシステムで、キューブ型の保管グリッド内をロボットが在庫ビンで商品を搬送します。その他にも、垂直リフト、コンベア、AMRなどのバリエーションがあります。

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倉庫自動化のメリット

従業員のパフォーマンスと満足度の向上

倉庫の自動化は、生産性の向上、ヒューマンエラーの削減、人手不足の最小化、マテリアルハンドリングの連携強化を実現し、同時に職場の安全性と作業員の満足度を向上することができます。

優れた設計の倉庫自動化システムは、精度の向上、負担や疲労の軽減、怪我の減少をもたらし、熱心で献身的な労働力を生み出します。

変化するニーズに柔軟に対応する倉庫

倉庫の自動化技術をシステムに組み込むことで、さまざまなビジネスや組織の発展的な要件に対応すできるようになります。例えば、AutoStore倉庫自動化システムはモジュール式で小さな部品で構成されているため、組み立てを工夫することにより、寸法、スケール、複雑さが多様な構造を作り出すことができます。規模や業務上のニーズを問わず、どんな場所にも、どんなビジネスにもフィットします。

持続可能な環境フットプリントを実現する

倉庫の自動化を賢く導入すれば、二酸化炭素排出量を削減し、産業用倉庫と製造に関する、より持続可能な取り組みに貢献できます。多くの自動化ソリューションでは、保管と運用の密度を高めることができるため、同じ機能を果たすのに必要な物理的な面積を減らし、それに伴う都市のスプロール化を抑制できます。

同様に、超高密度で効率的なレイアウトでは、必要なエネルギー量も従来の保管方法より少なくなる場合があります。例えば、AutoStoreロボットは、冷暖房、換気、照明を必要としません。さらに、充電スケジュールもスマートに行われます。その結果、AutoStoreシステムでは、エネルギー消費量と二酸化炭素排出量が大幅に削減され、多くのお客様が太陽光発電で電力を賄っています。

AutoStoreの製品とソリューションは、お客様やパートナーによるより良い世界の創出に貢献しています。革新的な自動化ソリューションを通じて 持続可能な倉庫を創り出すという使命に向けたAutoStoreの取り組みをご紹介します。

今後の展開や注目のトレンド

先進工業経済の他のすべての分野と同様に、倉庫に対する需要の変化も単独で理解することはできません。Gartnerのインフラと自動化の予測によると、倉庫の自動化は、今後数年間で生じるいくつかの大きなトレンドによって形作られることになりそうです。倉庫に関して確実に言えることは、人工知能(AI)に支えられた完全自動化バリューチェーンへとシフトする組織が増えるにつれ、自動化が加速していくということです。

  • 2023年までに、組織はビジネスタスクの25%以上を自律的に実行するようになる。
  • 2024年までに、企業はハイパーオートメーションと連動した業務プロセスの再設計により、業務コストを30%削減することができる。
  • 2025年までに、20%の商品が注文から配達まで人の手を介することがなくなる。
  • 2025年までに、50%の企業がAIを運用するためのオーケストレーションプラットフォームを導入する。
  • 2025年までに、AIがインフラ投資促進における最重要検討事項になる。

このような背景の中、WMS、GTPフルフィルメント、その他の高度なAS/RSといったシステムレベルの倉庫自動化がますます必要となり、ERPシステムとの統合もさらに進むと考えられます。これにより、より多くのデータを収集、分析し、意思決定に使用できるようになるため、AIや機械学習(ML)機能の統合をサポートし、実現することができます。その結果、システムレベルの自動化により、計画を予定に沿って適用することができます。

例えば、MLはWMSや個々のデバイス(例えば携帯端末)からのデータを統合して分析し、特定のタスクやプロセスにどれくらいの時間がかかるかを予測できます。データは、倉庫全体(あるいはサプライチェーン全体)の行動を調整する動的なワークフローに組み込むことができます。つまり、AI/MLと自動化レベルの向上は相互に支え合うものであり、自動化に投資する企業は、テクノロジーの進化と普及とともに、AI/MLをより有利な立場で活用できるようになるのです。

最初の一歩:導入のためのベストプラクティス

倉庫の自動化導入に関しては、包括的戦略が成功の鍵であり、コストとリターンの定量化、テクノロジーと空間的ロジスティクスの検討、プロセスと人材の管理という3つの主要な分野に焦点を当てる必要があります。

プロセスと人材の管理

最初に取り組むべき、おそらく最も基本的な問題は、新しいテクノロジーとともに働く必要のある従業員、導入を監督しビジネスプロセスを再設計するマネージャーやリーダー、テクノロジーがどのように機能してそこから何を期待できるかを理解する必要がある消費者やその他のステークホルダーなど、人とプロセスに対応することです。

デジタルテクノロジーで倉庫を管理する人々

このテクノロジーに適応するには、ビジネスプロセスの再設計が必要です。そのためには、倉庫の建物、設備、ITシステムなど、既存のインフラを総合的に検討する必要があります。また、所有者は、現在どのようなレベルの技術的力があるのか、そして今後必要とされる技術力は何かを理解する必要があります。そして、従業員には、その技術を活用し、新しいビジネスプロセスに対応できるよう、再教育とスキルアップが必要です。

また、導入計画を立て、期待されるリターンや利益をどのように定量化するかも重要です。導入の成功には、関係者間の調整、責任の明確化、主要業績評価指標(KPI)の確立が不可欠です。この中には変化を伴う要素も含まれます。

  • 職務や責任は、時間とともにどのように変化するか
  • 技術の成熟に伴い、労働力をどのように管理するか
  • 将来のテクノロジーやシステムとの統合をどのように実現するか

最後に、経営者や株主(コスト削減、生産性、信頼性など)、消費者(透明性、期待される対応スピードなど)といったステークホルダーに関連するメリットを説明することが重要です。

コストとリターンの定量化

コストとリターンをどのように定量化するかを検討することは、初期投資だけでなく、時間の経過とともに戦略を適応させるうえでも役立ちます。これには以下が含まれます。

  • 自動化によって最も時間を節約できるポイント(またはスペースや生産性などを最適化できるポイント)に応じて、投資の優先順位を決定する
  • 関連するすべてのコストを評価する
  • 経時的な影響を測定するためのツールや測定基準を開発する

投資収益率(ROI)を最大化する方法を考える際には、ソリューションがもたらす直接的影響と、新しいテクノロジーを活用するためのプロセスの再編成という、2つの要素のバランスを考慮する必要があります。例えば、高度なスキルが不要な作業に関わる労働力は削減できるが、再教育や専門スタッフによる費用が増加する、などです。一方、コストについては、初期費用と、保守やソフトウェアを含む総所有コスト(TCO)の両方を考慮する必要があります。

最後に、潜在的なパフォーマンスと実際のパフォーマンスが常に一致するように、影響を長期的に測定できることが重要です。パフォーマンスを測定するための指標と方法を定義し、期待に応えられていない場合は何が問題なのかを評価し、必要に応じてプロセスと手順を再設計する必要があります。

テクノロジーと空間的ロジスティクスを考える

複雑なビジネスやテクノロジーの発展と同様に、ロジスティクスも戦略の成否を左右します。ここで考慮すべき重要なロジスティクスとは、経時的な導入、データの保存と処理、ソリューションの拡張です。

導入を始める前に、よりスムーズな移行の実現に向け、既存の配置で何が変更可能かを評価します。そして新しいテクノロジーを受け入れるため、十分な物理的スペースを確保し、設備を撤去し、フロアプランを再編成します。この際、スペースの絶対量と倉庫全体での配分の両方を考える必要があります。

例えば、無人搬送車(AGV)を導入する場合、レイアウトを簡素化し、通路を広くし、スタッフとAGVの動きがぶつからないようにする必要があるかもしれません。さらに、従来のシステムが新しいソリューションと互換性があるかどうか、また古くなったハードウェアやソフトウェアを廃止し、代替品を購入する必要があるかどうかを確認する必要があります。

また、WMSやERPなどのシステムで使用したり、MLや予測分析ソフトウェアに取り込んだりできるようにするために、データをどのように保存、管理、処理するかについても検討する必要があります。これには、オンサイト用インフラストラクチャを購入して維持する場合と、クラウドテクノロジーを使用する場合とが考えられます。

いずれの場合も、コストと経営ロジスティクスの両面を考慮しなくてはなりません。

最後に、ソリューションをどのように拡張するかを可視化する必要があります。消費者の嗜好の変化や、進化し続けるビジネス環境など、ここで考慮すべき要因はいくつもあります。

新規市場参入やシステムショックにどの程度迅速に対応できるか、また、主要なビジネス機能の柔軟性と信頼性をテクノロジーがどこで、どのように支えているかを評価します。これによって、注文処理の規模をどれだけ簡単に拡大・縮小できるか、あるいはスタッフをどれだけ簡単に増減できるかを理解することができます。つまり、適応性が高ければ高いほど、長期的な成功の可能性が高まるのです。

まとめ

倉庫の自動化とは?

倉庫の自動化とは、これまで手で行っていた作業を専用のシステムや機器を使って行うようにすることです。

大きく分けて、倉庫の自動化には次の2つのタイプがあります。

  • 物理的な自動化:倉庫内の作業を機械化し、手作業を補助または代替するものです。例えば、ロボットによる在庫のピッキング、保管、取り出しなどです。
  • デジタルオートメーション:既存のITの能力を高め、手作業のワークフローを削減します。例えば、自動認識・データキャプチャ(AIDC)技術を使用した在庫の識別と追跡の自動化が挙げられます。さらに、倉庫管理システム(WMS)は、倉庫全体の在庫を可視化し、マテリアルフローを調整することができます。

倉庫の自動化のメリット

倉庫自動化のメリットは、生産性の向上、オーダーピッキングの精度の向上、倉庫と在庫管理の合理化、職場の安全性の向上、二酸化炭素排出量の削減などです。

倉庫の自動化の仕組み  

物理的な自動化では、機械化(ロボット、無人搬送車など)により、手動で行っていた作業を補助します。在庫の仕分け、資材移動の簡素化、商品の取り出しなど、サプライチェーンプロセス全体で自動化が進んでいます。

一方、デジタルオートメーションは、標準的なハードウェア(インターネットネットワークやモバイルデバイスなど)を必要とし、データ分析プラットフォーム、API、機械学習アルゴリズムなど、プロセスまたはタスクに特化したソフトウェアを活用します。例えば、デジタルオートメーションでは、自動認識・データ取得(AIDC)技術により、倉庫の在庫を識別、追跡、仕分けできます。さらに、倉庫自動化システム(WMS)を統合することで、在庫の流れを調整し、サプライチェーンのフルフィルメントを可視化できます。

倉庫の自動化への投資前に考慮すべき要素

倉庫の自動化には、自動化の投資収益率(ROI)と総所有コスト(TCO)の測定、主要なロジスティクスの評価、テクノロジーを統合するための従業員の能力の調整とスキルアップなど、全体的な戦略が欠かせません。

AutoStoreによる倉庫の自動化

倉庫の自動化にご興味のある方は、こちらのAutoStore情報ガイドをご覧ください。

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