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2023年3月23日
2023年3月23日

倉庫自動化 - 完全ガイド

多くの企業は、まだ自動化の初期段階にあります。倉庫の自動化に関心がある業務部門や営業部門の責任者の方、またビジネスの成長に繋がる具体的な判断材料をお探しの方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。

赤い6つの点からなるAutoStoreのファビコンを表示。
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倉庫の自動化についての概要

一般的に倉庫自動化とは、倉庫業務の機械化・合理化・最適化を可能にするための、さまざまな技術(基本的なものから高度なものまで)・システム・プロセスの導入を指します。倉庫自動化では、通常業務を自動化し、物品の保管、検索、移動、管理における全体的な効率を向上させるためにさまざまなソリューションや機器が使用されています。それにより、あらかじめ定義されたプロセスを用いて、毎回同じ方法で作業を行うことができます。また、倉庫自動化により、手作業を減らしたりなくしたりすることで、次の成果が得られます。

  • 手作業(とそれに伴うリスク)を大幅に削減。
  • 業務のスピードと生産性の大幅な向上。
  • オーダーピッキングや返品などの主なプロセスにおける正確さと精度の向上。
  • リアルタイムでの情報把握とプロセスの改善による在庫管理の強化。

倉庫作業の自動化において、ロボット工学は重要な役割を果たしています。倉庫の自動化に関しては、小規模な事例から始めて徐々に取り組みを拡大していくのが効果的なアプローチです。このアプローチによって、自動化のメリットを体験し、本格的な自動化プロジェクトへとスケールアップすることができます。たとえば、ロボットで在庫品を取り出すAutoStoreのような自動倉庫システム(AS/RS)を使って、オーダーピッキングのように、特定のエリアを自動化することから始めることもできます。導入後、自動化のメリットを体験した上で、他のエリアにも自動化を拡大し、効率を最適化することで、エラーを減らし、全体的な生産性を向上させることができます。ここからは、さまざまな種類の倉庫自動化について、具体的にご説明いたします。

自動化における2つの基本カテゴリー

自動化ソリューションや自動化技術にはさまざまな種類がありますが、一般的には次の2種類に分類できます。

1.物理的な自動化

品目の取り扱いや移動など、倉庫内での物理的な作業やプロセスを自動化する、技術や機械を指します。各倉庫で必要とされるソリューションの種類は、実行するタスクの種類や、取り扱う品目の種類によって異なります。サイズ、重量、タスクの頻度などの要因を考慮し、使用する技術を選択します。

AutoStoreのキューブ型保管は、物理的な自動化(商品の移動)とプロセスの自動化(デジタル化されたワークフローや在庫管理など)の両方を考慮した倉庫自動化の例です。

2.プロセスの自動化

プロセスの自動化はデジタルオートメーションとも呼ばれ、ワークフロープロセス、データ管理、意思決定の自動化と最適化に重点を置いています。テクノロジーソリューションとアルゴリズムにより、さまざまな業務プロセスを合理化または強化し、パフォーマンスを可視化できます。プロセスの自動化は、ルールベースの作業または反復的な作業であれば、物理的作業と管理的作業の両方に適用できます。

物理的な自動化とプロセスの自動化は、どちらも特定のエリアやプロセスに大きな影響を与えます。倉庫の効率性、正確性、カスタマーエクスペリエンスに最大限の改善をもたらすためには、この両方の自動化を組み合わせることが重要です。

デジタルオートメーション/プロセスの自動化とは、ワークフロープロセス・データ管理・意思決定の、自動化と最適化を指します。

自動化できる倉庫作業やプロセスとは?

自動化のレベルは、ワークフローや製品の種類、倉庫によって大きく異なります。そのため、一般的な倉庫や物流センターにおける業務の中で、どのようなプロセスやタスクを自動化するのが有効かを知ることが重要です。自動化技術が最もよく導入されるユースケースを下記に記載しています。複数のソリューションを組み合わせれば、さまざまな業務領域にわたってプロセス全体を合理化することができます。

1.オーダーピッキング

オーダーピッキングは、特に小売業食料品店などにおける大量オペレーションにおいて、大幅な効率化が期待できるプロセスです。自動化された機器やロボットは人間のオペレーターをアシストしたり、自律的にアイテムをピッキングしたりします。手動のピッキングプロセスと比較して、ピッキングの生産性を2倍以上向上できる可能性が 高く、オーダーのピッキングを平均60秒以内に完了できるケースもあります。

自動化された設備とロボットがオペレーターをサポートする例。この事例では、ワークステーションにいるオペレーターにロボットが商品を届け、どの商品をいくつピッキングすべきかをシステムがオペレーターに知らせます。

ピースピッキングロボットの例。自律的に商品をピッキングします。

2.商品の荷受けと荷下ろし

コンベヤー、ロボットアーム、無人搬送車(AGV)などの機器によって、入荷した貨物の搬送や仕分けが効率化されます。自動化された機器が、人よりも速くA地点からB地点へ商品を移動できるからです。たとえば、ワークステーションで処理され梱包された注文を、移動コンベヤーに載せ、倉庫内の集荷場所まで素早く運ぶことができます。これにより、手作業による大きな負担がなくなり、作業のスピードアップにつながります。また、精度が向上し、手作業での搬送に伴うけがや事故のリスクも抑えることができます。

3.保管と取り出し

在庫品が自動で運ばれてくれば、遠く離れた場所にある品目を探し出すために時間を費やす必要はありません。GTP(Goods-to-Person)システムと呼ばれるこのシステムでは、ロボットが指定された場所から在庫品の保管と取り出しを行います。ロボットの経路は最適化されており、たとえば、最も人気のある品目をピッキングポイントの近くに配置したり、注文前に事前にピッキングしておくことでピーク時の調整や管理に役立ちます。

キューブ型保管は、ロボットが商品の保管と取り出しを行う倉庫システムの一例です。

4.在庫補充

スタッフを、顧客へのサービスやカスタマーエクスペリエンスの向上といった、重要な目的に注力させることができます。定義されたルールと在庫量の最新データを使用し、ソフトウェアがロボットシステムをガイドしたり、新しく入荷した品目を自動的に正しい場所に保管したり、ピッキングエリアに補充したりすることで、スムーズな処理の流れを維持します。

5.仕分けと集約

バーコードスキャナーやRFID技術を備えた、コンベヤーシステムなどの自動仕分けシステムは、オーダーされた品目を素早く仕分けしてまとめます。反復作業は、継続することで精度とスピードがさらに向上します。

仕分けシステムの一例。コンベヤーシステムが注文品をスキャンし、郵便番号に基づいて袋に仕分けします。


6.梱包と包装

箱の組み立て、製品のラベル貼り、シール貼りなどの反復的な単純作業は、自動化された機械によって迅速かつ効率的に実行されます。これにより一貫性とスピードが向上し、梱包ミスや返品の頻度が減少します。

7.荷積みと出荷

コンベヤーシステム、AGV、ロボットアームなどを使用して貨物の積み込みや出荷の準備を行います。AGVでトラックや輸送コンテナへの商品の輸送と積み込みを行うことで、積み込みの正確性と発送効率が向上します。大きくて重い品目や、広いスペースにまたがって品目を移動させるような大規模な保管場所で特に効果を発揮します。

8.在庫管理

倉庫管理システム(WMS)などのソリューションにより、在庫管理や在庫状況の確認をリアルタイムで行えます。在庫管理を最適化することで、最終的に顧客の選択肢が広がります。

9.返品処理

自動化されたシステムが検品、仕分け、補充、ベンダーへの返品プロセスなどのタスクを実行するので、スタッフは収益性の高いタスクに注力できるようになります。

10.パフォーマンスの監視と最適化

自動化によって得られる大量のデータは、レポート作成やオペレーション改善に利用できます。ソフトウェアを導入することで、制御、監視やレポート作成の自動化、高度なパフォーマンス分析が可能になります。こうして得られたデータは、継続的な改善計画やプロセスの最適化、予知保全、需要予測などに活用されます。

Unify Analyticsは倉庫のデータを収集してレポートを作成するソフトウェアです。管理者に情報をわかりやすく提供して業務改善をサポートします。

最も一般的な自動化技術の比較

上述のように、倉庫自動化技術は、特定のタスクやプロセスを自動化するシンプルかつ単一のアプリケーション技術から、相互接続されたタスク、プロセス、および技術のクラスターを自動化するエンドツーエンドシステムまで、多岐にわたります。ロボットからソフトウェア、さらに高度なシステムまで、どのソリューションがお客様のニーズに最適かを見極めるのは容易ではありません。ここでは、最も一般的な倉庫自動化技術の種類について主な業務領域別に分類し、それぞれの重要な用途と違いをまとめました。

1.商品の取り扱いと輸送

ロボットと自律走行搬送ロボット(AMR)、自律走行搬送車(AGV)

さまざまな種類の搬送ロボットや自動運転車両が倉庫内の各所で品目のハンドリングや移動のタスクを実行し、ピッキングや仕分けなどの作業を行う担当者のもとに届けます。

例:

  • ピッキングや仕分けの担当者のもとに商品を搬送する棚搬送型(GTP: Goods-to-Person)ロボット
  • 所定の経路で倉庫内の品目を搬送するAGV
  • 人の操作なしにパレットを移動させる自律型(自動運転)フォークリフト

このような技術は、手作業を減らして生産性を向上させ、商品を安全かつ効率的に移動させるために使用されています。搬送ロボットが適している場所としては、ナビゲーション経路が頻繁に変更されず、作業員と混在しない比較的広いスペースが挙げられます。

コンベヤーシステム

倉庫内で大量の商品を効率的に搬送するために、さまざまなコンベヤーシステムを使用することができます。コンベヤーソリューションに使用される技術はさまざまで、多様な機能があります。

例:

  • 定義されたルールに基づき、在庫品をさまざまな場所に送る仕分けコンベヤー
  • コンベヤー経路に沿って搬送物を一時的に滞留させることができるアキュームコンベヤー
梱包された注文品を集荷場所に送るコンベヤー。

2.保管とオーダーフルフィルメント

自動ピッキングソリューション

オーダーピッキングは、お客様の要件やプロセスに応じて、部分的または完全に自動化することができます。

例:

  • ピックトゥライトシステムピッキング中の作業員に対し、LEDライトとセンサーでピッキングする品目と数量を指示するシステムであり、精度と効率を向上させます。
  • プットトゥライトシステム:品目を置く正確な位置をLEDライトで指示することで、作業員による処理を迅速化・効率化します。
  • 音声ピッキングシステム:紙の指示書や手作業、目視確認を必要としないシステムであり、ピッキングや入庫作業の担当者に次の行動を音声で指示します。ピッキング自動化の初期に多く活用されましたが、現在はさらに効率的な代替手段があるためあまり使われていません。アクセシビリティが最優先のケースでは、現在も利用価値があります。
  • ウェアラブルデバイス:スマートグラスや手首などに装着するデバイスで、ピッキング作業のための指示を視覚情報または音声で提供します。

上記のシステムのうち、特にピックトゥライトとプットトゥライトは、多くの事例で他の倉庫自動化システムと統合されています。たとえば、ピックトゥライトがGTP(Goods-to-Person)システムと統合された場合、従業員はLEDライトの指示に従い、システムによって搬送された在庫ビンから正しい品目を選択できます。音声ピッキングシステムなどの他のシステムは、自動化の導入が進んでいない、手作業で商品を棚に保管しているような倉庫では役立つでしょう。ただし、このシステムでは作業員が在庫管理のために長い時間歩き回る必要があることが多く、在庫品やワークフローの変化に柔軟に対応できない場合もあります。

ピックトゥライトでは、LEDライトとセンサーを用いて、作業員によるピッキング作業を誘導します。

従来の自動倉庫システム(AS/RS)

AS/RSでは、倉庫や物流センター内の指定された保管場所での在庫品の保管と取り出しに自動化システムを使用します。AS/RSソリューションは、保管および取り出しのプロセスにおける効率性、正確性、スペース活用を向上させるよう設計されています。

システムは、制御ソフトウェアによって管理・最適化されます。新しい在庫品はビンやトートに収納され、グリッドに沿ってあらかじめ定義された場所に自動的に収容されます。次に、ストレージグリッドに沿って移動するロボットによりピッキングやオーダーフルフィルメントが行われます。保管要件や注文量に応じて、さまざまな派生型ソリューションが使用されています。

従来のAS/RSソリューションの派生型:

  • ユニットロード(大型の品目向け)
  • 横回転式カルーセル(小さくこまごました品目向け)
  • ミニロード(小~中型の品目向け)
  • 垂直リフトモジュール(VLM - 高さのある品目向け)
  • シャトル(トート、トレイ、段ボール箱などのハンドリング向け)

それぞれのユースケースの概要は次のとおりです。

  • 派生型の使い方によっては、従来のAS/RSの方が大型の品目を管理する上で役立つ場合があります。
  • ただし、キューブ型保管(後述)と比べると、従来のAS/RSでは保管スペースを最大限に利用することが難しい場合があります。
  • 従来のAS/RSソリューションは複雑で、配置や導入に時間がかかることがありました。
  • 大型機器の整備や修理は運営費がかさみ、一時的に日常業務に支障をきたすこともあります。
  • 規模を拡張する場合には設置作業が複雑になることに加え、機器や床面積の確保に多大な追加投資が必要になることがよくあります。

キューブ型保管(次世代のAS/RS)

キューブ型保管は、AS/RSの概念を一歩進めた革新的なソリューションです。このソリューションはGTP(Goods-to-Person)フルフィルメントシステムに分類され、複数の技術を組み合わせることでスループットを大幅に向上させ、保管容量を最大化できます。大量・大容量というニーズに合っているため、さまざまな業界で導入されています。  

  • 全世界で99.7%のシステム稼働率を誇る最も信頼性の高いAS/RSシステムです。
  • 現在最高レベルの保管密度を誇るAS/RSソリューションです。
  • 軽量なアルミニウム製の保管グリッドをあらゆる床面積に合わせてカスタマイズできるので、迅速、簡単に導入できます。
  • 在庫ビンに収まるサイズである必要はありますが、多様な寸法の製品に適応できます。
  • 品目をグリッドの全方向(上下左右)に3次元的に収納できるので、空間を最大限に活用できます。従来のAS/RSシステムと比べ、同じ保管容量を少ない床面積で実現できます。
  • 小規模な構成であれば、数週間以内に完成します。
  • モジュール式のため簡単に拡張でき、ホリデーシーズンやブラックフライデーなどの繁忙期にも床面積を拡張する必要なく対応できます。

AutoStoreが他社に先駆けて開発したキューブ型保管自動倉庫システムは、最高レベルの保管密度を誇るAS/RSソリューションです。

3.業務管理とパフォーマンスの最適化

倉庫管理システム(WMS):

在庫追跡、オーダー管理、労働力配分、ワークフローの最適化など、倉庫作業のさまざまな側面を統合・管理します。

  • 倉庫作業をリアルタイムで可視化し、制御できます。
  • 倉庫作業の種類やその他の技術要件に応じて、さまざまなソフトウェアソリューションから選択できます。
  • エンタープライズリソースプランニング(ERP)ツールを用いてCRMなどの倉庫プロセス管理を超えたビジネスツールを統合することで、WMSをさらに進化させることができます。
  • WMSにはさまざまな種類があり、業務内容、ワークフロー、業界によって複雑さが異なります。WMSをまだ使用していない場合は、導入前に外部のコンサルタントに相談するとよいでしょう。

IoTセンサーとAIDCによるデータ取得:

センサーやデバイスを使うことで、在庫情報をリアルタイムで自動的に取得・追跡できます。

  • 最新の在庫状況を監視し、正確に把握できます。
  • 仕分けやオーダーピッキングを簡略化・高速化できます。
  • 保管に関連する多くのパラメーター(湿度、温度、機器の状態など)を測定できます。  
  • 業務によっては情報の粒度が細かすぎたり、物量が多い場合に処理が遅くなったりする可能性があります。

業務の枠を超えて:倉庫自動化がもたらすメリット

倉庫自動化へ投資して、利益が増えるだろうか?

倉庫自動化へ投資しない場合のデメリットとは?

倉庫自動化が業務効率とパフォーマンスにもたらす直接的なメリットについていくつかご紹介してきました。ここからは、自動化がビジネス全体にもたらすメリットをご紹介します。

競争で優位に立つ

ここ数年でお客様の期待値がさらに高まっていることは、ご存知のとおりです。今は即日配送が当たり前になっている時代です。商品やブランドの良さだけではなく、カスタマーエクスペリエンスが業績を左右します。eコマースや小売業について考えてみると、多くの場合、フルフィルメントや配送・返品プロセスが顧客との唯一の物理的な接点です。配送プロセスに問題があれば、多くの顧客が他社に乗り換えてしまうでしょう。一方、配送に満足した顧客は、今後継続して購入するようになる可能性があります。自動化は、この重要な配送プロセスの強化に大いに役立つでしょう。

そして現在、私たちは過渡期にいます。自動化が急速に進んでいるとはいえ、倉庫作業の大半はまだほとんど、あるいは完全に手作業で行われているのが実情です(2021年の時点でさえ、世界の倉庫の80%以上がまったく自動化されていませんでした)。もし今、お客様が自動化を進めなくても、競合他社が自動化を進めることは間違いないでしょう。

  • 業務をスピードアップし、顧客への配送を競合他社よりも速くすることは、差別化を図る上で有効な方法です。
  • 手作業や反復作業を減らすことで、スタッフをより複雑な品質管理プロセスに集中させ、カスタマーエクスペリエンスをさらに向上させることができます。
  • ハイパーオートメーションと併せて業務プロセスを再設計することで、2024年までに運用コストを30%削減できるでしょう。
  • 自動化を促進しなければ、競合他社との競争に負ける恐れがあります。
  • 従業員の作業性と安全性が改善されます。  
  • 自動化によって肉体的な負担が大幅に軽減され、より多様でやりがいのある仕事に携わる時間ができます。
  • 在庫の取り出しや重い荷物の移動のために、作業者が長い距離を歩く必要がなくなります。
  • 人間工学に基づいたワークステーションは、作業者の快適性を向上します。
  • 結果として、自動化の導入によって労働衛生上のリスクや事故のリスクが大幅に低減されます。
業務をスピードアップし、顧客への配送を競合他社よりも速くすることは、差別化を図る上で有効な方法です。

より持続可能なビジネスモデルの構築

倉庫自動化を適切に導入すれば、二酸化炭素排出量を削減でき、産業用倉庫や製造業の持続可能性に貢献する優れたアプローチとなります。

  • 自動化ソリューションで保管密度や作業効率を高めることで、より少ない面積で従来通りの機能を果たすことができるのです。
  • 最新のロボットはエネルギー消費量が少ないものが多く、ソフトウェアによって機器の効率を最適化するため、特定の時点でのエネルギー消費を最小化することができます。太陽光発電で動く機器も多くあります。
  • 新たに保管場所が必要となった場合でも、自動化によって必要な総面積を減らすことができます。これは周囲の環境対策や都市部に付随するスプロール現象の抑制に効果的で、エネルギー消費量の削減につながります。

「革新的な自動化ソリューションを通じてサステナブルな倉庫の実現を」というAutoStoreのミッションについての詳細は、こちらをご覧ください。

省力化・省スペース化による事業の推進

多くの企業は、大規模な自動化プロジェクトへの先行投資に慎重です。しかし、企業が成長するにつれ保管容量と処理量が増加し、より大規模な施設への移行が必要になる事例が多く見られます。

  • 自動化によりスペース効率を高めることで現在の業務環境を最大限に活用し、コストのかかる不動産投資を回避できます。
  • もちろん、保管面積の拡大が避けられない場合もあります。しかし、適切な自動化ソリューションがあれば簡単に拡張できるので、業務拡大が必要な場合でも大規模な倉庫の拡張プロジェクトが必ず必要になるわけではありません。
  • 従来のワークフローを維持したまま自動化を導入することも可能です。SKUの追加や確保できる在庫量の増加、即時配送などの新しいサービスをとおして、今までより多くの選択肢を顧客に提供することができます。
自動化によりスペース効率を高めることで現在の業務環境を最大限に活用し、コストのかかる不動産投資を回避できます。

自動化プロジェクト成功のカギ

倉庫自動化技術の導入を成功させるには、入念な計画、調整、さまざまな要素の考慮が必要です。既存施設の自動化を検討しているか、あるいは新しい業務の立ち上げを検討しているかを問わず、倉庫自動化の導入に伴う全体的な影響を決定する重要な共通要素をまとめました。

→徹底したニーズ評価

導入を進める前に、各倉庫固有の要件、問題点、目標について包括的に分析することが極めて重要です。各業務のうち、自動化により最もメリットがある分野やプロセスを特定することがねらいです。これにより、重点的に投資すべき分野や導入すべき最適な技術を容易に決定することができます。

既存の施設への導入を計画している場合、設置作業中に通常業務を継続したいかどうかも検討する必要があります。ソリューションの中には、日常業務中に設置することが不可能なものや危険なものもあります。したがって、業務の中断が長くなる可能性にも注意が必要です。

  • キューブ型保管のように、業務を停止することなく導入できるソリューションもあります。
  • 取り扱う製品の種類に応じて、特別な保管やハンドリングの要件も考慮する必要があります。
  • たとえば、食料品小売店の場合、生鮮食品の冷蔵保存機能を検討する必要がありますが、一部の自動倉庫ソリューションはこのような機能に対応していません。常温用および冷蔵用のAS/RSシステムを利用して倉庫を自動化したチェコのネットスーパー、Rohlik社がピッキング効率を3倍に向上させた事例をご紹介します。

→新技術の導入前にプロセスを最適化する

自動化は、決められたタスクの実行をスピードアップするに過ぎません。プロセス自体が最適化されていなければ、自動化しても単にプロセスを拡大してこれまでより速く実行できるようになるだけのことです。自動化を導入する前にプロセスやワークフローを最適化することにより、将来の事業成功への基盤を固めることができます。

→柔軟な統合オプションを確保する

統合により、さまざまなコンポーネント間でスムーズなデータの流れ、同期、および調整が可能になります。統合時には相互運用性が重要になるので、ソリューションは「特定の技術に依存しない」ものであることに加えて、選択肢や設定を限定せず、柔軟な統合オプションを提供する堅牢なAPIを備えていることが求められます。

→効果的な変更管理を行う

倉庫自動化の導入や拡大には、作業プロセス、役割、責任など、大きな変化が伴うことがよくあります。従業員がこのような変化に適応し、メリットを理解し、変化に対する懸念や抵抗感に容易に対処できるよう、適切な変更管理を行うことが極めて重要です。

→教育やサポートの向上に注力する

自動化された新しい環境へスムーズに移行するには、従業員への適切なトレーニングとサポートが重要です。トレーニングには、新しい機器の操作方法、新しいシステムインターフェースの使用方法、新しいワークフローの学習などが含まれます。

→データ管理・データ分析による実用的な情報を収集する

自動化には、データに基づく意思決定プロセスが特に重要です。このような意思決定には、お客様のビジネスにとってどのような種類のデータや分析が最も重要であるかを明確に理解し、成功の指標として本当に意味があるKPIを知ることが必要です。

すべてのシステムのデータを効果的に管理・分析することで、業務部門はプロセスの最適化やパフォーマンスの監視などについて、営業部門は戦略的意思決定やトレンド予測などについて、貴重な情報を得ることができます。

→拡張性と柔軟性を考慮して事業を構築する

ニーズの変化に応じて、事業の成長、商品構成の変更、注文量の増加やその他の数量的な変化にソリューションも対応できる必要があります。成功する自動化プロジェクトは、拡張性と柔軟性を最優先に設計されています。モジュール式のソリューションは、システムの大規模な再構成や時間のかかる設置作業が不要で、個々のコンポーネントを簡単かつ迅速に追加して容量を増やすことができるので、最も俊敏性の高い自動化ソリューションと言えます。

柔軟性は、投資全般にも当てはまります。今日、最先端のサービスプロバイダーやソリューションプロバイダーは、完全な所有権を提供する方式に加えて、さまざまな商用ライセンスモデルを提供し始めています。たとえば、サービスロボット(RaaS)の場合、機器やインフラをレンタルして、有期契約の「ピッキング単位の支払い」モデルで課金します。このモデルによって、企業はその規模や成熟度に応じ、スケールや複雑さが異なるプロジェクトへのCAPEX投資をさまざまな管理方法から選択することができます。

→継続的な改善を目指す企業文化を育てる

倉庫自動化は、フィードバックと改善を繰り返して改善し続けていこうとする企業文化に支えられてこそ、その効果を最大限に発揮することができます。このような観点で言えば、自動化は導入して終わりではなく、継続的なプロセスとして捉えることができます。プロセスやシステムの定期的な評価・監視・改良は、継続的に改善し、競争で優位に立ち、変化し続ける顧客の要求に対応する上で不可欠です。

倉庫自動化の潜在的なROIを見積もる方法

最後に、プロジェクトの導入で実現し得る投資収益率について考える必要があります。ニーズ調査によってプロジェクトの概要を把握し、プロジェクトの規模や技術構成が明確になるまでは、詳細な答えを出しにくいものです。ただし、次のステップに進むための指針として、プロジェクトがもたらす影響を把握することはできます。

もちろん、どのようなプロジェクトでも先行投資は必要ですが、ROIは導入されるソリューションの規模や複雑さに大きく左右されます。現在のインフラ、交換が必要な従来型ハードウェアの数などの要素は、常にROIに影響を及ぼします。プロジェクトの規模にもよりますが、AutoStoreのお客様は平均して2~3年以内に投資回収を達成できています。

コストに関して考慮すべき重要な要素は次の2つです。

  1. 運用開始までに必要な先行投資
  2. 継続的な運用コスト(保守、クラウドサービスなど)を考慮した総所有コスト(TCO)

これらのコストは主に次の2つの領域で回収することができます。

  1. キャパシティーやパフォーマンスの強化(SKUの追加や新しいサービスの提供など)による業績向上やビジネス機会の獲得
  2. 直接的、間接的なコスト削減
  • 直接的な削減の例としては、スキル不要の作業にかかるコストの削減より、ランニングコストやメンテナンスコストを見直すことが挙げられます。
  • 間接的な削減の例としては、施設コストの削減より、インフラへの投資額でバランスを取ることが挙げられます。自動化によって保管容量を最大化することで、既存の施設を継続して使用できたり、新しい倉庫の面積を削減することが可能になり、不動産関連費用の削減も容易になります。施設の規模が小さくなれば、エネルギー消費量が少なくなるので、ランニングコストも安くなります。

最後に、自動化によるROIとビジネスへの影響度を評価するには、長期的な影響度を測定するためのツールとプロセスを設定する必要があります。これにより、潜在的なパフォーマンスと実際のパフォーマンスの差異を常に考慮し、必要な時に改善措置を講じることができ、投資価値を継続的に確保できるでしょう。

AutoStoreによる倉庫自動化

倉庫自動化にご興味のある方は、こちらのAutoStore情報ガイドをご覧ください。

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