導入を成功に導く5つの質問
今日、自動化とロボティクスは産業部門全体の進歩と革新を推進する重要な技術であり、倉庫の分野も例外ではありません。自動化技術は、特殊な機器やソフトウェアを駆使して、手作業よりも効率的かつ安全に、少ないエラーで大量の反復タスクを完了させます。倉庫の自動化は、タスクの種類や規模に応じてさまざまな形態がありますが、多様な事業分野やパフォーマンス指標に幅広いメリットをもたらします。
しかし長期的な成功を確実に手に入れるには、賢明な戦略と綿密な計画が不可欠です。そこで本記事では、自動化するにあたって尋ねるべき5つの重要な質問を挙げていきたいと思います。
産業界における絶え間ない技術革新と、効率性や生産性の着実な向上は、消費者の利便性を向上させました。その結果、消費者の期待水準は高まり、特にこの 10 年間は、迅速かつ柔軟なデリバリーによる利便性が大きな影響力を持っています。さらに最近では、持続可能性が世界的に重要な関心事となっています。消費者、投資家、規制当局からの圧力は、ビジネス効率のパラダイムを「大量だが無駄も多い」から「より少ない労力でより多く」へと変化させています。
自動化技術は、倉庫内の生産プロセスの拡張を可能にし、ダウンタイムを必要としません。一度稼働すれば、24時間365日休むことなく働くことができます。これは、コスト削減、生産性、効率性の面で大きな可能性を秘めていることを意味します。また、倉庫の自動化、スマート化により収容密度も高まるため、都市の乱開発やエネルギー使用量の削減が可能になります。例えば、 AutoStoreキューブストレージシステムは、同じ設置面積で従来の4倍の収容量を提供し、そのロボットはスマート充電スケジュールによりエネルギー消費を最適化できます。
価値を実現する最善の方法は、業務内容、サプライチェーンの状況、地域の特性によって異なります。原則として、データを取得したり、在庫を物理的に保管したり取り出したりするような、迅速で一貫した作業が重要ではあるけれども、能力レベル以上の価値はないような作業に目を向けるとよいでしょう。別の言い方をすれば、自動化により骨の折れる仕事から解放されたら、従業員は感情的知性や創造性、新しい状況への適応など、人間特有の能力を活かす業務に注力すべきです。また、危険な作業も自動化の対象となります。自動化により従業員の安全と健康状態が向上し、リスクや関連する保険費用を削減できます。
自動化に投資をするにあたっては、ベンダーに尋ねるべき適切な質問を知っておくことが重要です。AutoStoreのガイド「ベンダーに尋ねる質問」は、自動化ベンダーに問うべき質問と、それが重要である理由について解説しています。 今すぐダウンロード
自動化によって恩恵を受けるタスクやプロセスに目を向けることから始め、逆算して最適なテクノロジーを見つけてください。自動化にはデジタル的(ソフトウェア)なものと物理的(機器の機械化)なものがありますが、これらを個別に利用して特定のタスクを実行させることも、組み合わせてシステムにし、より大きな一連のプロセスを処理させることもできます。
デジタル的な自動化は、主に手作業によるワークフローを簡略化するために利用されます。クラウドストレージやSaaS(Software-as-a-Service)モデルにより、大規模な先行投資の必要性がなくなったため、中小企業にとってますます身近な存在になってきています。例えば、倉庫管理システム(WMS)は、在庫の可視化、材料やリソースの使用状況の追跡、フルフィルメントプロセスの管理などを実現します。
物理的な自動化は、特殊な手作業を人間の従業員よりも効率的に行うために利用されます。コンベアシステムは、あらかじめ決められたルートに沿って在庫を搬送し、AIDCと組み合わせることで、異なる種類の在庫をいつ降ろすかを決定する仕分けを行うことができます。倉庫内の重量物の搬送をAGV(無人搬送車)とAMR(自律走行搬送ロボット)に任せれば、価値は低いが肉体的に負担の大きい労働を減らすこともできます。AMRは変化のある環境でもうまく対応して移動することができます。広々として障害物の少ない倉庫であれば、AGVで十分かもしれません。
自動保管/回収システム(AS/RS)や自動棚搬送(GTP)フルフィルメントシステムは、いずれも類似のプロセス群を自動化し、在庫や機器をより迅速、正確、かつ効率的に移動、保管、検索できるようにするものです。さまざまなシステムが、商品の寸法や重量、倉庫の規模やレイアウト、垂直方向や水平方向の移動といった物流要件など、さまざまな状況に合わせて最適化されています。
どのような自動化であれ、基本的な機能を実現するためには、現場のネットワーク接続のほか、データの保存と処理のためのITインフラが必要です。これらのインフラは現場に置くことも、クラウドを介してオフサイトに置くこともできます。しかも自動化のメリットは、他の数多くの技術によってさらに拡げることができます。
自動化技術から得られるデータは、実用的なインサイトや傾向を明らかにするもので、企業資源計画(ERP)システムの売上予測、注文追跡、収益追跡、顧客やサプライヤーとの関係管理などの機能に活用できます。インダストリアルIoT(IIoT)ネットワークは、多種多様な機械設備、電子機器、照明、ソフトウェアを容易に相互接続することを可能にし、資源効率を最適化して持続可能性を向上させたり、予知保全を可能にしてダウンタイムを削減したりなど、さまざまな目的を実現できます。人工知能(AI)と機械学習(ML)も自動化と相性が良く、前者はプロセスの最適な実行方法の発見に、後者はその確実な遂行に役立ちます。
ベンジャミン・フランクリンはかつて「計画をしないということは、失敗を計画するようなものだ」と言いましたが、これは倉庫の自動化プロジェクトにも当てはまります。大まかな戦略からロジスティクス、人材管理まで、自動化の潜在的なメリットを実現するためには、計画が不可欠です。
スタートの前に、自動化したい分野の優先順位を決め、費用を計算し、生産性、コスト削減、ビジネスの成長といった観点から期待される結果を定義します。次に、すべての従業員の移行準備を徹底します。倉庫の従業員については、技能の向上と再訓練を行い、彼らの仕事がどのように変わるかについてオープンに対話をします。管理職については、新しい責務(展開の監督を含む)と責任体制を明確にします。
最後に、新たに生じるであろうロジスティクス上の課題に向け、本格的な展開前にできる限り最適化と準備を行います。これには、床面積の確保、自動化と互換性のないレガシーシステムの置き換え、データを安全に保存・処理するためのインフラの準備などが含まれます。
グローバルサプライチェーンの相互連携が進むにつれ、メーカーはますます多くの新規市場に進出することが可能になり、同時に、多様な地域へのアクセス性と保管能力を高めるというニーズを同時に満たすことが求められています。倉庫はこうしたトレンドから大きな恩恵を受ける一方で、24時間365日の稼働による環境への影響を軽減し、コストを削減しながら、処理速度を上げ、よりきめ細かい保管と取り出しプロセスを可能にする方法を見つけるなど、迅速に適応する必要があります。
これは確かに簡単なことではありません。しかし、自動化プロセスの選択的、進歩的、かつインテリジェントな導入は強力な戦略であり、倉庫業務がこの難題に立ち向かうことを可能にします。