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2023年7月15日
2023年7月15日

リードタイムとは何か、その短縮方法とは?

リードタイムとは何でしょうか。この記事では、リードタイムの意味、配送時間との違い、リードタイム短縮のメリットについて説明します。

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リードタイムとは、商品が注文されてから納品されるまでにかかる時間のことです。ロジスティクス業界では、リードタイムの最適化が重要な課題であり、リードタイムを正確に把握し、管理することで、利益や生産性の向上につながります。この記事では、リードタイムの算出方法からメリット・デメリットまで、リードタイムとは何かを詳しく解説します。

リードタイムとは

リードタイムとは、概して言うと、生産や輸送などを含む各プロセスの開始から終了までの期間を指します。

一般的にリードタイムとは、製品の生産から納品完了までの時間を指しますが、その詳細は業種によって異なります。ロジスティクス業界の場合、リードタイムには調達(仕入れ)、生産、保管、出荷、配送が含まれます。

リードタイムの短縮による顧客満足度の最大化

ロジスティクス業界においてリードタイムの短縮は、顧客満足度に直接的な好影響をもたらします。リードタイムは荷物が目的の受取人に届くまでの期間を表すため、その短縮に努めることは迅速な配送につながり、結果として顧客満足度を高めることになります。

When customers are presented with two products of equal price, the lead time between the order placement and receipt of the package plays a crucial role in customer satisfaction and in influencing their decision-making process. In the current landscape of online shopping, where many companies offer expedited services like next-day delivery, failing to prioritize lead time can place your business at a disadvantage compared to competitors. To differentiate your company and attract repeat customers, it is vital to actively work on shortening lead times, ensuring prompt and efficient delivery services that exceed customer expectations.

eコマースサイトで重視されるリードタイム

近年のeコマースの台頭により、eコマースサイトにおけるリードタイム管理への注目が高まっています。

大手eコマース企業にとって、リードタイムは業務戦略やロジスティクス戦略の鍵となっています。顧客はますます迅速かつ効率的な商品配送を望むようになり、注文から1日以内という短期間での受け取りを希望することもよくあります。こうした顧客の期待に応え、競争力を維持するには、サプライチェーン、倉庫管理、フルフィルメントプロセスを最適化するなど、自社の業務を適応させなければなりません。リードタイムを効果的に管理し、迅速な注文処理と配送を実現することで、企業は優れた顧客体験を提供し、市場での競争力を維持することができます。

リードタイムの計算方法

リードタイムの計算方法には、「フォワード法」と「バックワード法」の2種類があります。業界や具体的な条件に応じて正確な手順は異なりますが、一般的に以下のように算出されます。

  1. 起点と終点を特定する:リードタイムを計算するための起点と終点を決定します。起点は通常、注文を受けた時、または生産工程が開始した時です。終点は、商品が顧客に納品または提供されるときです。
  2. 関連データを収集する:リードタイムを計算するために必要なデータを収集します。データには、注文処理、生産、品質管理、梱包、配送準備など、各段階に必要な時間が含まれます。段階ごとに所要時間を算出してください。
  3. Calculate the Lead Time: Subtract the starting point time from the ending point time to determine the lead time. The most common way to calculate lead time is by subtracting the order request date from the order delivery date.
  4. 計算対象を考慮する:背景によっては、営業日のみを計算対象とする必要があるかもしれません。 該当する場合は、リードタイムの計算から土日祝日を除外します。
  5. 計算の精度を高める:収集したデータとリードタイム計算を分析します。生産プロセスにおける改善点や潜在的なボトルネックが、リードタイムに影響する可能性がないか確認します。また、注文量、生産能力、サプライヤーのリードタイム、その他の変数など、全体的なリードタイムに影響する要素も考慮します。

複数のサプライヤー、下請け業者、複雑な生産プロセスを含むシナリオでは、リードタイムの計算がより複雑になり得る点に注意する必要があります。そのような場合、各段階でのリードタイムを考慮し、生産・納品プロセスに関わる各事業者間の依存関係を考慮する必要があるかもしれません。

6種類のリードタイム

リードタイムは、以下の6通りに分類できます。

1. 開発リードタイム

商品開発における企画から完成までの期間を「開発リードタイム」と言います。市場動向に合わせて商品の企画・立案を行い、速やかに市場に出すことができれば、ビジネスチャンスや利益向上につながります。 

ただし、短ければ良いというものではなく、開発時に問題が発生してしまうと余計なコストがかかる可能性があります。そのため、サプライヤーの選定、開発手順、資材の調達など、必要なプロセスには入念に対応するようにしましょう。

2. 調達リードタイム

製造会社における、「原材料の調達から生産工場への納入」までに必要な期間を、「調達リードタイム」と呼びます。

生産にはさまざまな原材料が必要となるため、調達リードタイムを適切に管理する必要があります。また、海外からの輸入品であれば、輸送に時間がかかるものもあるため、サプライヤーにリードタイムの短縮を要請するなどの対策も必要です。 

3. 生産リードタイム

生産や製造を始める日を起点とし、あらかじめ決められている数の商品が完成するまでの期間が「生産(製造)リードタイム」です。すべてを社内で生産している場合は、作業員のスケジュールや製造装置の調整によってリードタイムが決まります。一部の生産を外注しているのであれば、外注のリードタイムも考慮しなければなりません。

4. 配送リードタイム

生産・製造工程を経て完成した商品の、注文処理から梱包、配送完了までの期間が「配送リードタイム」です。身近な例で言うと、eコマースウェブサイトに表示されている「注文後、2〜3日以内にお届け」が配送リードタイムです。

配送リードタイムには、商品の配送期間だけでなく、ピッキングプロセスも含まれるため、リードタイムを短縮するには、AS/RSシステムなどの効率化技術の導入を検討することも重要です。

5. 購買リードタイム

商品の入手を決定してから商品を受領するまでの期間を、「購買リードタイム」と言います。

在庫管理では、過剰在庫を防ぐためにも、商品の入荷までにかかる時間を知ることが非常に重要です。

6. 納品リードタイム

注文時を起点として、商品が顧客の元に届くまでの期間を「納品リードタイム」と呼びます。

リードタイムが長いことによるデメリット

リードタイムが長いと、主に購入から商品到着までの期間が長くなるため、企業にとっても顧客にとってもデメリットが生じます。近年は、注文から配送まで1〜2日で対応するeコマースサイトが多いため、期間が長くなると顧客にネガティブな印象を与えかねません。

ここからは、リードタイムが長くなることによるデメリットについて詳しく説明します。リードタイムを効果的に短縮するには、根本的な問題を事前に特定し、適切な対策をすることが極めて重要です。

販売機会の逸失

希望する配送日までに商品が届かないとなれば、顧客は購入を断念したり、他の商品を探したりする可能性が高くなり、販売機会を失うことになります。複数の企業が同じ商品を提供している場合、特にサービスの質に大きな違いがなければ、顧客は納期が最も短い企業を優先することが多くなります。

過剰在庫によるコストの増加

商品のリードタイムが長いと、大量の在庫を抱えることになり、過剰在庫による保管コストが発生します。

リードタイムが長いと、出荷待ちの商品で溢れてしまい、在庫管理コストの増加につながります。余剰在庫の保管や取り扱いには、倉庫保管料、保険料、場合によっては廃棄処分費などがかかります。

そのため、企業はリードタイムと在庫レベルのバランスを取る努力をすることで、コストと業務効率の最適化を図る必要があります。リードタイムをできる限り短縮し、効率的な在庫管理手法を採用することで、企業はタイムリーに注文を履行しながら、過剰な在庫と関連コストを回避できます。

顧客満足度の低下

リードタイムが長くなると、顧客は商品到着まで時間がかかったと感じてしまうなど、全体的な顧客体験に悪影響が及ぶことがよくあります。その結果、顧客の維持やリピート購入の促進が困難になるケースもあります。

eコマースプラットフォームの数が増加し、多様なサービスが提供される今日、顧客は、注文から商品到着までのリードタイムが短いなど、プラスアルファの価値を提供する商品を選ぶ傾向にあります。つまり、リードタイムは顧客満足度に直接影響し、顧客の意思決定プロセスにおいて重要な役割を果たします。

リードタイム短縮のメリット

ここからは、コスト削減や強力な競合他社との差別化など、リードタイムを短縮することによる主なメリットについて、それぞれ詳しく解説していきます。 

リードタイムの短縮は、企業にとって新規顧客の獲得やリピート客の維持につながるアピールポイントとなります。顧客が商品を購入する頻度が高まれば、企業の売上に大きく貢献することでしょう。 

商品管理コストを削減できる

リードタイムを短縮すると、在庫を長期間保管する必要がなくなるため、劣化による商品の廃棄がなくなります。出荷の回転が速くなれば、商品の品質が安定し、過剰在庫が減ります。これにより倉庫の圧迫がなくなり、広い作業スペースがを確保できます。これにより、ピッキング作業がしやすくなり、人的ミスが起きにくい環境が整うというメリットにもつながります。

また、人気商品の在庫を十分に確保することで、在庫切れによる販売機会の逸失を防ぐことができます。

変化する市場に適応しやすくなる

適切な在庫管理は、需要の増減などの市場環境の変化に対応するために重要であり、リードタイムを短縮することで、過剰在庫や欠品といった問題を解決できます。需要の高まりに対応し、より短い納期で商品を届けることができれば、顧客からの注文が増え、売上増につながる可能性もあります。 

競合他社との差別化でリピート客を獲得できる

配送サービスを向上することで、競合他社との差別化を図り、リピート客を増やすことができます。リードタイムを短縮すれば、最短で顧客が希望する日時に届けることが可能となり、顧客満足度の向上が期待できます。

また、リピート客が増えるということは、売上が安定するということであり、会社全体の利益向上という観点からも重要です。ただし、リードタイムの短縮は、業務の質を落とさない形で行う必要があります。さもなければ、納品された商品の不良がクレームとなり、顧客の信頼を失うことになりかねません。

リードタイムを短縮する方法

リードタイムの短縮には、人員配置の最適化、作業プロセスの見直し、テクノロジーの活用など、多面的なアプローチが必要です。しかしこれらの対策は、倉庫管理や在庫管理との連携を図りながら実施することが極めて重要です。個々のプロセスを修正することは、相互に関連する他の業務に波及する可能性があることを認識する必要があり、より広範なロジスティクス業務を考慮したデータと知見の収集が不可欠です。このようなバランスの取れたアプローチにより、実施された変更が確実に効果を発揮し、全体的な効率性を最適化できます。

ここからは、リードタイムを短縮するためのさまざまな戦略について概説します。

1. 適切な人員配置と教育により技術力を向上させる

人手不足でリードタイムが延びている場合は、人員を増やし、適切な人員配置を行うことで解決できます。また、生産性を維持するためには、各プロセスで適切な人材を確保することも重要であるため、従業員数が適正かどうかを定期的に確認する必要があります。人材の拡充は生産性の向上にもつながります。

従業員数を増やせない場合は、一人ひとりの能力を高めるための研修や教育を行い、能力に応じて配置換えを行うことも有効です。また、定期的に面談を行うことで、社員の能力や適性に応じた配置を行い、能力を発揮させ、さらに生産性を向上させることが可能になります。 

2. 作業プロセスを見直す

作業プロセスは定期的に見直すことが重要です。特に以前から導入されているプロセスは要注意です。こうした対策は、リードタイムの短縮に大きな役割を果たします。

設備やシステムが更新された場合、以前のプロセスが不要になっている可能性があるため、それを見直すことでリードタイムを短縮できるかもしれません。業務によっては、そもそも作業工程表が作成されていない場合もありますが、効率性の向上を図る必要があるならば、見直しは大いに推奨されます。

3. エラーを減らす環境を作る

従業員が繰り返しミスをした場合、状況を改善するには、根本的な原因を調査することが不可欠です。ロケーション管理が不適切であると、商品が正しい棚に置かれないなどのミスが生じたり、過剰在庫による問題が引き起こされたりします。たとえダブルチェックの手順が整っていても、このようなミスは作業負荷をさらに増大させます。ミスを未然に防ぐには、ミスが起こりにくい環境を整えることが重要です。

4. サプライヤーや取引先を見直す

原材料調達のリードタイムを最短にするには、サプライヤー評価を実施し、より効率的なサプライヤーへの移行の可能性を検討することが重要です。同様に、配送を派遣会社や運送会社に委託する場合は、定期的にその実績を評価し、納期厳守を徹底する必要があります。発注から納品までのリードタイムが過度に長くなるようであれば、改善を要請するか、サプライヤーの変更を検討することをおすすめします。

5. 倉庫業務を自動化する

倉庫の自動化は、おそらくリードタイムを改善するための最も効果的な解決策の1つです。倉庫の自動化は、業務の迅速化と効率化に貢献し、最終的にリードタイムの短縮につながります。

  • スピードと効率性を向上させる: コンベアシステムロボットピッキング自動保管・回収システム(AS/RS)などの自動化技術は、倉庫業務のスピードと効率を大幅に向上させることができます。プロセスを自動化すると、手作業に比べ、より速く、より正確にタスクを処理できるので、注文処理、ピッキング、梱包、出荷のリードタイムを短縮できます。
  • オーダーフルフィルメントを合理化する:倉庫の自動化により、円滑なオーダーフルフィルメントプロセスが可能になります。自動化システムの多くは、迅速かつ正確に商品を探し出し、保管場所から取り出して、梱包、出荷へと誘導できます。手作業をなくし、人的ミスを減らすことで、オーダーフルフィルメントを加速し、リードタイムを短縮します。
  • 在庫管理を最適化する:自動化技術は、リアルタイムの在庫把握と管理を可能にします。システムを自動化することにより、常に在庫レベルを監視し、在庫の動きを追跡できるので、自動的な補充プロセスが可能になります。正確な在庫管理によって商品の安定供給と在庫切れの防止を徹底することで、顧客からの注文に迅速に対応し、リードタイムを短縮することが可能になります。
  • 拡張性と柔軟性を生かす:自動倉庫システムの多くは、拡張性と柔軟性を念頭に設計されています。ビジネスニーズの進化に合わせてシステムを簡単に拡張または変更できるので、需要の変化に順応できます。こうした俊敏性により、注文量の変動、新商品の発売、季節変動にも即座に対応でき、需要が高い時期でもリードタイムを最適化できます。
  • データに基づく知見を活用する:倉庫自動化システムによって生成される膨大な量のデータは、継続的な改善に活用できます。主要なパフォーマンス指標と運用データを分析することで、企業はボトルネック、非効率性、最適化すべき領域を特定できます。データに基づく知見により、企業は情報に裏付けられた意思決定、プロセスの改善、リードタイムの短縮を実現できます。

自動化は多くのメリットをもたらしますが、導入を成功させ、リードタイムを改善するには、既存業務の徹底的な分析、費用対効果の分析、適切な技術選択が重要です。

6. ロジスティクス業務の稼働時間を延長する

ロジスティクス業務の稼働時間の延長は、リードタイムを短縮する1つの方法です。これは、人員を増やすか、24時間365日稼働するシステムを導入することで実現できます。

繁忙期には、通常の稼働時間では出荷要求への対応が追い付かず、作業効率が低下することがあります。このような問題に対応するには、一時的に人員を増強するか、出荷依頼に対してタイムリーかつ効率的に対応できるようなシステムを導入することをおすすめします。

リードタイム短縮時の注意点

リードタイムの短縮を目指すなら、そればかりに注力するのではなく、バランスを取ることが重要です。さもなければ、リードタイムの短縮を追求するあまり商品の検査がおろそかになるなど、作業品質の低下につながりかねません。リードタイムの短縮に取り組む際には、同時に費用対効果や商品品質への影響を考慮することが重要です。このバランスを保つことで、企業は商品の品質を落とすことなくリードタイムの短縮を実現できます。

無理な作業プロセスになっていないか

リードタイムの短縮に努める場合、作業効率を阻害する可能性のある非効率性がないか、作業プロセスを評価することが極めて重要です。

プロセスの実現可能性を考慮せずにリードタイムを無理に短縮すると、通常では発生しないようなエラーが増加する可能性があります。また、作業を急ぐことは事故の可能性を高めることにもなります。したがって、作業プロセスを設計する際には、従業員の人数やスキルレベルなどの要素を考慮することが不可欠です。これらを考慮することで、最適な作業品質と従業員の安全性を維持しながら、バランスの取れたやり方でリードタイムを短縮することが可能になります。

費用対効果が見合っているか

自動化や増員によるリードタイムの短縮を検討する際には、付随する人件費や設置コストを念頭に置く必要があります。期待される利益が、発生する費用を上回るか評価することが極めて重要です。

費用対効果を確保するには、自動化の導入費用、継続的な運用費用、人件費などの要素を考慮に入れながら、徹底的な評価を実施することが推奨されます。包括的な分析を行うことで、リードタイム短縮対策への投資が、潜在的な売上と利益に見合うかどうかを判断できます。

小ロット商品に欠品が発生しないか

小ロット商品のリードタイムと在庫の効率的な管理には、固有の課題があります。こうした商品のリードタイムを短縮すると、顧客満足度の向上などのメリットがある一方で、在庫不足につながる可能性もあります。保管コストを抑えるために小ロットの在庫管理を選択する企業は、臨時休業や生産停止時に欠品が発生するリスクを考慮すべきです。リードタイムを最短にすることと、十分な在庫レベルを維持することの適切なバランスを見つけることが重要です。

eコマースで生き残る:リードタイムの重要性

顧客のニーズに応え、競争の激しいeコマース業界で生き残るには、包括的な配送サービスを提供できるかどうかが鍵であり、リードタイムが重要な役割を果たします。オンラインショッピング利用者の多くは翌日配送を希望しており、その希望に応えられなければ販売機会を逸失する恐れがあります。リードタイムを短縮し、顧客の要望に応えるためには、配送方法や倉庫業務など、さまざまなロジスティクスプロセスを見直し、最適化することが不可欠です。

結論

This article has provided an explanation of lead time, its calculation methods, and benefits of reducing it. Shortening lead time is crucial for enhancing delivery services and maintaining happy customers. To achieve this, effective strategies include implementing warehouse automation, personnel training and reviewing suppliers.

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